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2026.10.23

ご相談から完成まで|着物が表装作品になる5つのステップ

サービス理解

着物を広げて相談している場面

着物の表装のご依頼は、写真を送る→見立て→お預かり→制作→お届けの5つのステップで進みます。最初の写真相談と見立てまでは費用がかからず、制作中も途中経過を写真でご報告します。

福井県越前市の表装工房「越前きもの表装」の宮守雅治です。「頼んでみたい気持ちはあるけれど、何から始めればいいのか分からない」。ご相談の入口で、多くの方がそうおっしゃいます。この記事では、ご相談から完成品のお届けまでの実際の流れを、順を追ってご説明します。読み終わる頃には、最初の一歩がはっきり見えているはずです。

STEP1 写真を送る(この段階で費用はかかりません)

最初のステップは、着物を広げて写真を1枚撮り、送っていただくことです。ご相談と見立て、概算のお見積もりまで、費用は一切かかりません。

撮り方に決まりはありません。着物を広げ物差し或いはサイズがわかるように畳に広げrなどしてスマートフォンで全体が写るように1枚。それで十分です。もし余裕があれば、気に入っている柄のアップや、気になるシミの箇所も撮っておいていただけると、より具体的なお答えができます。

この段階では、「依頼するかどうか決めていない」方が大半です。それでまったく構いません。「この着物、何かになりますか」という漠然としたご質問からで大丈夫です。掛軸か額装か決まっていなくても、予算の上限が決まっていなくても、まずは着物を見せていただくところからすべてが始まります。

写真はLINEでもメールフォームでもお送りいただけます。数日以内に、職人の見立てをご返信します。

STEP2 お見立て──「どの柄を残すか」を一緒に決める

お送りいただいた写真をもとに、どの柄が作品として活きるか、額装・掛軸・屏風それぞれの仕上がり候補と概算費用をお伝えします。決めるのは、それからで大丈夫です。

お見立てとは、着物のどの部分を強調し製作するか一番美しい作品になるかを、職人の目で読むことです。着物の柄には流れがあります。裾から肩へ立ち上る柄、袖に描かれた柄、帯のお太鼓に描かれた柄。どこにスポットをあてるかによって、同じ着物からまったく違う作品が生まれます。
ギャラリーの作品を見ながらお持ちの着物の仕上がりを思い描いていただきます。
ここで大切にしているのは、私が一方的に決めないことです。職人として「ここが一番活きます」という見立てはお伝えしますが、お客様にはお客様にしか分からない思い入れの箇所があります。「母がよくこの柄を撫でていた」という一言で、見立てが変わったこともあります。技術の目と思い出の目、両方を突き合わせて決めていく。この対話が、表装の仕事のいちばん大事な部分だと思っています。

費用の目安は額装20,000円〜、掛軸30,000円〜、屏風50,000円〜です。仕上がりの方向と金額にご納得いただけたら、次のステップに進みます。

着物を広げて相談している場面

STEP3 着物をお預かりする(持込・宅配、梱包のしかた)

着物のお預かりは、工房へのお持ち込みと宅配便の二通りです。宅配の場合は、畳んだ着物を文庫紙か風呂敷で包み、箱に入れてお送りください。
お近くの方は、越前市幸町1-13のキロクルSTUDIOまでお持ち込みいただけます。実物を広げながらお見立ての続きをすることもできますので、お時間の合う方にはおすすめです。
遠方の方は宅配便で。梱包は難しく考えなくて大丈夫です。

・着物を畳み、たとう紙(なければ清潔な風呂敷や大きめの布)で包む
・雨対策として、ビニール袋にゆったり入れる
・着物のサイズに近い箱に、隙間が大きすぎないように収める
到着しましたら、こちらから必ずご連絡します。お預かりした着物を広げて状態を確認し、写真でご報告したうえで、正式なお見積もりを確定します。写真では分からなかったシミなどが見つかった場合も、この時点でご相談しますので、「預けたら金額が変わっていた」ということはありません。

梱包された着物が届いた様子

STEP4 制作(解く→柄合わせ→裏打ち→仕立て、途中経過をご報告します)

制作は、解く・柄合わせ・裏打ち・仕立ての順に進みます。納期は1ヶ月〜。工程の節目ごとに、途中経過を写真でご報告します。
まず、着物の縫い目を一針ずつほどいていきます。静かな工房に、糸がぷつりと切れる小さな音だけが続く時間です。一枚の布に戻った着物は、仕立てられていた時には見えなかった柄のつながりを見せてくれます。
次に柄合わせ。お見立てで決めた部分を正確に裁ち、画面を整えます。それから裏打ち。越前鳥の子紙に糊を引き、布の裏に当てて、刷毛で空気を追い出しながら一枚に仕立てます。裏打ちを終えた布は板に張って乾燥させ、十分に落ち着いてから、額装・掛軸・屏風それぞれの形に仕立てていきます。
この間、お客様には節目ごとに写真をお送りします。ほどき終えた布の姿、裏打ちを終えて張りの出た絹、裂地を合わせた様子。「いま、あなたの着物はこの段階にいます」というご報告です。預けたきり音沙汰がない、という不安な時間を作りたくないからです。掛軸の場合は、周囲に廻す裂地の色柄をこの段階でご相談することもあります。

制作途中の報告写真の実例

STEP5 お届け・お飾りまで

完成した作品は、丁寧に梱包して全国へお発送します。お飾りの方法や扱い方のご案内を添えますので、届いたその日から飾っていただけます。

掛軸は軸箱に収め、額装は角をしっかり守って梱包します。お手元に届きましたら、まず作品の状態をご確認ください。飾り方、掛け外しのしかた、避けていただきたい場所(直射日光や水回りなど)は、同封のご案内と、必要であればお電話やメールでもご説明します。
お持ち込みでご依頼くださった方は、工房でのお渡しもできます。完成した作品を初めて広げる瞬間に立ち会っていただくのは、私にとってもこの仕事のいちばんの楽しみです。

遠方・海外の方へ(発送とお支払い)

遠方・海外の方も、写真相談から完成品のお届けまで、来店なしで完結できます。お支払いは銀行振込とPayPal、発送は全国・海外に対応しています。

実際、ご依頼の多くは福井県外の方です。STEP1〜5のすべてが、写真と宅配便のやり取りで完結するように組み立てていますので、距離を理由にあきらめる必要はありません。制作途中の写真報告があるため、「遠くて様子が見えない」という不安も小さくできているのではと思います。

海外在住の方からの、ご実家に眠る着物のご依頼も承っています。お支払いにPayPalをお使いいただけますので、送金の手間もかかりません。海外への発送方法と送料は、お届け先に応じて個別にご案内します。

よくあるご不安(切るのが怖い/柄が決められない/状態が悪い)

初めての方のご不安は「切るのが怖い」「柄を決められない」「状態が悪い」の3つに集約されます。いずれも、そのままご相談いただいて大丈夫です。

Q. 着物に鋏を入れるのが怖いです。本当に切ってしまっていいのか迷っています。
A. その迷いは自然なもので、無理に決める必要はありません。見立てだけ聞いて、何年か考えてからご依頼くださった方もいます。また、切り取るのは柄の一部で、残りの布はお返しします。。
Q. どの柄を残せばいいか、自分では決められません。
A. 決めてから来ていただく必要はありません。小さな作品(ミニ掛軸・ミニ額装・ミニ屏風・コースター・テレホンケース・テレホンスタンド等にもご利用できます。
職人の見立てをお伝えしたうえで、お客様の思い入れを伺いながら一緒に決めます。
Q. シミや傷みがある着物ですが、大丈夫でしょうか。
A. 多くの場合、大丈夫です。着物の全面を使うわけではないので、状態の良い部分を選んで仕立てられます。まずはシミの箇所も含めて写真でお見せください。

ここまで読んでくださったなら、最初の一歩はもうお分かりだと思います。着物を広げて、写真を1枚撮る。それだけです。LINEでもメールフォームでも、どちらからでも承ります。
「まだ迷っている」という段階のご連絡も歓迎です。タンスの中の一枚と一緒に、お待ちしています。

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